ゲーム的には副読本の類だと思われますが、どうしてもお勧めしたかった。
タイトルから想像しづらいですが、「魔女術という概念と人々がどう向き合ったのかについての資料百科事典」です。
非常にまじめな本で、しいて言えば人間が一番オカルト。
各地の魔女裁判についての膨大な資料をコンパクトにまとめた名著だと思います。
一部で人気なセイラム魔女裁判の経過もまとまっています。
まえがきに
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…偏狭かつ硬直した思考の危険性や、人間の行動のあらゆる側面に対する探究心の必要性を読者に示すならば、本書は単なる好古的・煽情的興味を越えた価値を持つこととなるだろう
と有るとおりに、知性を放棄した人間の行いに序文ですらうんざりすること間違いなく、我々がフィクションで知る魔女狩りがいかに生易しいものか教えてくれます。
この本のもうひとつの良いところは、反理性的な人間に対して、反論や抵抗を試みた人間について詳細に言及してあるところです。
暗く濁った事物は人間の良心を覆い隠しがちですが、たった一点の光でも、見失うのは浅慮と訴えかけてくれます。
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全力を尽くして支配的イデオロギーに対抗し、邪悪な迷信の力と支配に恐怖する民衆を導いた勇気ある男女によってこそ、魔女迫害の終焉は早められたのである