Lesser Key of Megiddo72

医療従事者キャラ、最高!

彼女の武器は一体何なのか

彼女の武器、一体何なのだろう。
単純な鈍器や刃物を構える奴が多い中、とても複雑な構造をしている
瀉血器具にも見えるのだが詳細は……?という訳で、調べてみた。

瀉血を巡る旅

瀉血(しゃけつ)、という医療概念がある。
中世ファンやブラッドボーンプレイヤーにはおなじみだろう。
「体内から悪い血を抜くことで健康を回復する」という概念である。
当然ながら、現代医学では効能は否定されている。
彼女の武器はその器具に用いるものに似ている、というかそのものだ。
瀉血の道具から、彼女の武器のルーツをちょっとだけ紹介する。
権利上の問題で画像を貼らないので、画像検索しながら読んでほしい。

瀉血の道具

最も古い瀉血の方法は、安易に静脈を切開する方法だ。
現代におけるメス、英語でいうところのランセット(Lanet)を用いる。
これが進化すると、「皮膚にカップを当てて吸入する」という方法になる。
こめかみ、耳の後ろなど、肌の薄いところにカップを当てて、血を吸入するのだ。
原理は注射器と同じだが、穴の開いた皮膚を上から吸うところが異なる。(痛そう!)
吸入法瀉血のために、様々な器具が考案された。
お手持ちのブラウザの検索欄に「瀉血 器具」と入力してみていただきたい。
たぶん、一番上にバティンの持つ武器にソックリな道具の画像が出てくる。
これが吸入法のために皮膚に傷をつける道具だ。
英語ではArtificial Leech、つまり「人工ヒル」と言う
使い方は説明するより動画をご覧いただきたい(多少痛そうなカットがあるので注意)

この動画を見るとわかるが、後ろを引っ張る構造は、彼女の持っている武器ときちんと同じである。
中の人の調べものぶりを称賛したい。

誰が人工ヒルを作ったか

(薄文字は自信の無い部分)
1793年、Charles Louis Stanislas Heurteloupがフランスに生まれる
1840年、おそらくパリで吸入式人工ヒルを開発し、特許を取得?
彼の作った人工ヒルはシリンジがガラス製である。
その商用前、1809年、Carl Baunscheidtという人がドイツに生まれた。
(年代不明)彼は医者になり、Baunscheidtismという医療とそのための「人工ヒル」を改良した。
詳細は省くが、これは瀉血を用いた代替医療で、現在は医学的に効果が無いことがわかっている。
しかし当時は19世紀、便利な瀉血道具は流行った。
1852年、Emil Bruno Meyrowitzという人が現ドイツ、当時のプロイセンに生まれる。
1875年、彼は起業し、医療器具の製造販売で成功した。
彼の起こしたメーカーが造った「人工ヒル」こそが、日本語で「瀉血 器具」で検索するとトップに挙がってくるBacon’s Artificial Leech (Meyrowitz)である。
「Bacon’s」とあるが、これはBaron' sの表記ミスである気がする……最初に出てくるHeurteloupさんの父は戦功によって男爵に叙勲されていた。
ちなみにこのE. B. Meyrowitzは現在もアイウェアブランドとして存続している。
おしゃれなので興味のある人は調べてみよう

調べものメモ

HeurteloupとBaunscheidtの発明の前後がよくわからない……フランス語とドイツ語の壁に阻まれている。
ソースを探して邦訳する超物好きの人がいたらツイッター@Ph_karkaに投げつけると喜ぶようです。

このページの参考文献

・エリザベス・ベニヨン(著)児玉 博英(訳)「西洋医療器具文化史」 東京書房社 (1982)
A Baunscheidt Homeopathic Medicine Kit in the Jindera Pioneer Museum(巨大なpdfなので注意)
E. B. Meyrowitz UK - about us

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